急成長スタートアップの中で、技術と組織、両面の基盤づくりに挑むパートナープロップCTO・福森さん(以下、敬称略)。前職から親交のある弊社代表・大谷の支援を受けながら、開発組織をゼロから立ち上げ、スピードと信頼を武器に組織を牽引してきました。単なる技術支援にとどまらず、伴走者として意思決定を支える“技術顧問”という存在とは―創業フェーズのリアルと、今も続く“伴走”のかたちを伺いました。パートナープロップ株式会社 福森 賢/CTO2021年4月に株式会社アールナインに入社。自社SaaSの開発、新規事業のシステム開発、基幹システム開発など、幅広い経験を積む。入社時30名規模だった組織が100名規模まで成長する中で、採用、マネジメントなど、様々な役割も担当。2024年4月より株式会社パートナープロップに入社。CTOとして開発組織を率いている。課題・開発組織の知見不足・推進する際の型がない・技術的意思決定のスピード感効果・社内で自走できるシステムチームの構築・新規事業にも応用可能な「型」の獲得・技術判断と意思決定のスピードが飛躍的に向上技術も関係性もゼロから――出会いの原点――代表・大谷との出会いは、前職時代に遡るそうですね。福森 はい。私は大学で経済学を学んでいましたが、プログラミングに興味を持ち、独学で学び進めていました。個人でウェブアプリを作ったりしていたところ、就職活動中に前職の会社に出会い、一人目のエンジニアとしてジョインして、開発現場の最前線に立つことになりました。大谷さんは、そこで技術顧問として関わっていた方で、当時からとても頼りになる存在でした。――当時の印象深いエピソードはありますか?福森 今でも一番印象に残っているのは、入社1年目の冬の出来事です。当時は僕が一人で運用も担っていて、ある日、ちょっとしたトラブルでシステムが止まりかけたことがありました。もちろん自分でも全力で対応したのですが、どうしても解決しきれない部分があって。その時大谷さんは東京出張で福岡に戻らなくてはいけない状況の中、すぐにフォローしてくださって、精神的にもすごく大きな支えになりました。当時から本当に距離が近くて、困ったときに気軽に相談できる存在でした。年齢や立場に関係なく、遠慮せずに頼れる“超絶大先輩”――それが僕にとっての大谷さんです。――大谷さん視点で、福森さんと初めて出会ったときの印象はどうでしたか?大谷 福森さんは、僕が見てきた中でもまさに“超エース”という印象でしたね。前職では、実質的に彼が一人目のエンジニアとして入ってきたんですが、あの当時はかなりカオスな開発環境で、よくあそこまで制度づくりや体制整備をやり切ったなと、本当に驚かされました。しかもMVPを何度も獲得していて、年に4〜5回は取っていた記憶があります。若くしてあれだけの成長を遂げて、周囲に良い影響を与えていた姿は、今でも印象に残っています。パートナープロップの挑戦と急成長――改めて、パートナープロップはどのような事業を展開されているのでしょうか?福森 パートナーマーケティングに特化したPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)ツール「PartnerProp(パートナープロップ)」を開発している会社です。一言でいうと、メーカーやSaaS企業が販売代理店や紹介パートナーと一緒に商品を広めていくための“仕組み”を提供しています。たとえば、メーカーが代理店や紹介パートナーに商品の販売を委ねる際、「どのパートナーが、どれくらい売ってくれているのか」や「今どんなやりとりが行われているのか」といった情報を可視化し、よりスムーズに協力し合えるようにする。私たちは、そうしたパートナーとの協業をより活発かつ効率的に進めるための仕組みをつくっている会社です。市場としてもニーズが非常に高く、いままさに導入企業数が急速に拡大しているフェーズにあります――どのような経緯でCTOとして参画することになったのでしょうか?福森 最初は副業という形で関わっていました。正式にジョインしたのは2023年8月30日ですが、実はそれ以前から少しずつ開発を進めていたんです。当時はまだ資金調達もしておらず、自分でプロダクトを開発してリリースするしかないというフェーズ。登記上、正式入社は8月ですが、創業初期から現場には関わっていました。――当時の開発組織の体制はどのような状態でしたか?福森 最初期、僕を含めてエンジニア3名が副業で関わっている状況でした。でも、実際に自分で手を動かしながら「これは副業メンバーだけでは回らないな」と痛感したんです。そこから、以前の職場や友人などのつながりを頼りに、徐々に開発メンバーを集め始めました。代表やCOOの紹介もあって、少しずつチームができていったという感じです。資金も限られていたので、自己資金で乗り切っていた時期もあります。でも、2024年3月に資金調達を行ってからは、一気にアクセルを踏んで人員も増やしていきました。――急成長とともに、組織の課題も見えてきたと。福森 そうですね。現在は、正社員15名、業務委託を含めると50名近い体制になっています。開発メンバーも当初の数名からかなり増えていますが、開発社員は現在5名体制です。組織のスピード感ある成長に合わせて、技術面だけでなく組織面での課題も次々に出てきて。そういった背景もあって、本格的に支援を検討するようになりました。共に取り組んだ課題と変化――技術顧問の依頼はいつから考えていたのですか?福森 ご相談したのは2024年の春頃です。事業が成長し、次のフェーズに進もうとしていた時期で、「この先、どう組織をつくっていけばいいのか」が明確な課題になってきました。でも、自分にはその経験や“型”がなかったんです。だからこそ、開発組織の立ち上げを数多く支援してきたホライズンテクノロジーの大谷さんに相談したいと思いました。技術だけでなく、評価制度やチーム構成など、組織全体の基盤づくりにも伴走してもらえたのは本当に心強かったですね。――他の人に相談することも考えましたか?福森 当時は、まだそこまで多くの相談相手がいたわけではなくて。もちろん、今でこそCTO界隈のつながりも少しずつ増えてきましたが、当時「この人に相談しよう」と自然に思えたのは、大谷さんだけでした。それくらい、信頼していたんだと思います。――実際に支援を受けて、どのような変化がありましたか?福森 いちばん大きかったのは、意思決定のスピードが格段に上がったことですね。以前であれば「まず調べて、自分なりに考えて、社内で相談して、すり合わせて…」と1週間くらいかかっていたような検討も、大谷さんとの打ち合わせ1回で方向性がクリアになり、その日のうちに動けるようになったことが何度もありました。たとえば、「難しいな」と思う課題が出てきたときも、大谷さんに相談するとすぐに議論のたたき台が出てきて、「こうやって進めてみよう」という会話がその場でできる。こちらからも「自分はこう考えている」と伝えた上で、一緒に決断して進めるというプロセスが、とにかく早いんです。スタートアップにおいて、課題の特定や解決がすぐにできることはスピードを早めるためにとても価値のあることだと思っています。単にスピードが上がるだけでなく、自分の意思や判断を言葉にして、ちゃんと前に進めていけるようになった。背中を押してもらえる、そんな安心感も含めて、大きな変化だったと思います。これからの展望と共創の可能性――今後の展望を教えてください。福森 導入企業の数は順調に増えていて、ありがたいことに受注もかなり進んでいます。ただ一方で、より顧客のパートナーマーケティングをうまく推進させるためにはプロダクトの力がまだまだ必要と考えています。だからこそ、「この先どうプロダクトを再設計していくか」という課題に、いま強く向き合っているところです。そしてその中で、自分自身が最も重視しているのが「開発体制をどう維持し、スピードを落とさずに進化し続けるか」です。プロダクトの価値を継続的に届けていくためには、チームの強度と柔軟性の両立が不可欠ですし、誰がいて、どのような役割で動いているのかという“中身”の設計が重要になります。さらに、最近では生成AIの進化スピードにも大きな可能性を感じています。ここ半年〜1年でものすごく変化が起きていて、今後もそのスピードは加速していくはずです。だからこそ、技術の進化を前向きに捉え、パートナーにとっての新たな価値に転換していけるような開発を目指していきたいと思っています。――そのために、どのような支援を今後も求めたいとお考えですか?福森 やはり“型づくり”ですね。これまでも組織体制や評価制度の設計などで、大谷さんに型を示してもらいながら、僕なりの解釈を加えて実装してきました。でも、やっぱり現場ではうまくいかないこともある。そういうときに、どうリカバリーしていくかがすごく大切です。だから今後も、課題が起きたときに冷静に立ち返れるような“型”を、技術面でも組織面でも一緒につくり続けていけたらと思っています。大谷さんには、引き続き技術と人の両面から伴走していただけると本当に心強いです。――最後に、ホライズンテクノロジーは福森さんにとってどんな存在ですか?福森 まず大前提として、ホライズンテクノロジーという会社にとても好感を持っています。以前訪問した際も、社内の雰囲気がとても温かく、大谷さんが日々の関わり方や価値観を丁寧に積み重ねてきた結果として、自然とチーム全体に文化として根付いているのだと思います。私たち自身も、まだ組織文化を模索しているフェーズですが、「こういう風土って素敵だな」と感じるヒントをたくさんいただきました。そんな環境からご支援いただいているというだけでも安心感がありますし、「何かあったら相談できる」という、確かなエキスパートがそばにいるという心強さも大きいです。単に「この技術を使えば解決するよ」と言うだけじゃなくて、僕自身が抱えている迷いや感情にもちゃんと向き合ってくれて、必要なときには同じ話を何度でもしてくれる。時には寄り添いながら、時には背中を押してくれる。僕の考えを否定せず、でも建設的に問いかけてくれる存在、それがホライズンテクノロジーの大谷さんです。だからこそ、僕にとっては単なる技術顧問ではなく、本当の意味での“伴走者”だと思っています。――素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!